技術コラム

2021.10.26

ボールねじとは?種類・用途・構造の3つを解説!

ボールねじとは

ボールねじとは、ねじ軸、ナット、ボールなどで構成される、モータ等の回転運動を直線運動に変換する機械要素です。ねじ軸とナットの間のボールが循環することで、より軽い推進力で転動させることができます。ボールの働きにより、摩擦係数が非常に小さくなり、エネルギー効率が高いことが主な特長です。ただ衝撃には強くないため、振動が発生する環境下ではベアリングを利用するなどの対策が必要です。主に半導体製造装置や産業用機械、工作機械の搬送や位置決めに用いられます。

 

ボールねじの種類

ボールねじは転造ボールねじ、精密ボールねじの2つに大別されます。

転造ボールねじのねじ軸は、転造ダイスと呼ばれる工具を用いてを成形されたねじ溝を利用します。ナットは基本的にはシングルナットが使用され、低価格です。精密ボールねじは研削されたねじ軸を利用することから研削ボールねじとも呼ばれます。転造ボールねじに比べて高価ですが熱処理後でも精度出しが可能なため、求められる精度の幅が広いです。

ボールねじの用途

ボールねじは基本的にはワークの搬送や位置決めのために用いられます。ボールねじは、軸方向でのみ負荷荷重を受けることができるため、垂直荷重やモーメント荷重に対しては荷重を受けられません。そのためガイドレールが軸方向以外の荷重を受け持つ構造で利用される事が多いです。よってボールねじはガイドレールなどの機械要素と組み合わせて運用されます。ボールねじは医療機器や印刷機器、アミューズメント機器、車両部品などの幅い分野で利用されます。

ボールねじの構造

ボールねじにはいくつかのタイプに分かれますが、ナット、ねじ軸、ボールは共通する構成要素です。ナット、ねじ軸の一方が回転するともう一方が直線運動をします。ボールねじの内部構造は鋼球が永続的に循環する仕組みになっており、大きくコマ方式、ガイドプレート方式、リターンチューブ方式、エンドキャップ方式の4つの循環方式があります。

 

ボールねじの製作事例

当社では、大径・長尺ボールねじを製作してきました。ここでは、当社のボールねじ製作事例の一部をご紹介します。

門型マシニングセンタ用チューブ式片フランジダブルナット

門型マシニングセンタ用チューブ式片フランジダブルナット|ボールねじ修理・製作センター.com

  • 全長:12,925mm
  • 軸径:φ100
  • リード長さ:25mm
  • 精度等級:C5
  • 用途:テーブル位置制御
  • 効果:汎用型、バックラッシュゼロ、ハウジング加工の簡易化、耐荷重仕様

>>詳しくはこちら

 

歯車加工機用チューブ式片フランジダブルナット

歯車加工機用チューブ式片フランジダブルナット|ボールねじ 修理・製作センター.com

  • 全長:878mm
  • 軸径:φ45
  • リード長さ:10mm
  • 精度等級:C3
  • 用途:刃物切込み制御
  • 効果:汎用型、バックラッシュゼロ、ハウジング加工の簡易化、耐荷重仕様

>>詳しくはこちら

産業大型ジャッキ用チューブ式シングルナット

産業大型ジャッキ用チューブ式シングルナット

  • 全長:2210mm
  • 軸径:φ100
  • リード長さ:12mm
  • 精度等級:C7
  • 用途:産業大型ジャッキ
  • 効果:汎用型、バックラッシュゼロ、ハウジング加工の簡易化、耐荷重仕様

>>詳しくはこちら

>>製品事例の図面など、より詳細な情報はこちらから

ボールねじの修理事例

当社では、様々な修理事例がございます。以下でボールねじの修理事例を紹介します。

保管時に落下させてしまったボールねじ整備

保管時に落下させてしまったボールねじ整備

  • 修理項目:分解再確認
  • 対象機器:マシニングセンタ
  • 対象箇所:刃物台移動用
  • サイズ:φ50リード20ー1,539mm

Before

保管時、リフトによる移動の際、バランスを崩して転落させてしまった事例です。
衝撃による傷や曲がりの発生が想定されたのでお預かりし総点検を行いました。

>>Afterはこちら

ボールねじのよくあるトラブル

ボールねじを用いる際に起こりがちなトラブルに、ごみや異物の侵入があります。

ボールねじの内部に異物が侵入すると、損傷や剥離が起こることで内部の鋼球が上手く循環できなくます。そのため、加工などにより鉄や砂の粉塵が飛び散る環境下では、シールなどでボールねじを保護するなどの対策が重要になります。

ボールねじはねじ軸、ナット、鋼球の複数の部品からなる機械要素のため、組み付け精度が非常に重要です。ボールねじは先述した通り、軸方向にかかる荷重(アキシアル荷重)に対してのみ対応する機械要素のため、ラジアル荷重やモーメント荷重を受けることはできません。これらの荷重を受けると、一部の鋼球やねじ溝に負荷がかかりすぎてしまい、寿命を大幅に低下させてしまいます。

その他、ボールねじのよくあるトラブルとして下記のようなものが挙げられます。参考にしていただき、予防保全への活用や早期のトラブル発見に繋げていただけますと幸いです。

>>長期保管による錆の発生

>>モーメント荷重、ラジアル荷重による摺動不良

>>ボールねじの衝突によるねじ溝の圧痕

>>よくあるトラブル一覧はこちら

ボールねじのことならオージックまで!

オージック精密Ball Screw事業本部では、幅広いタイプのボールねじを提供しております。また水門開閉装置などで利用される、産業機械用大型ボールねじも提供しております。大型・長尺ボールねじ、台形ねじの事なら精密Ball Screw事業本部へお問い合わせ下さい!

さらにオージック精密Ball Screw事業本部では、自社品、他社品を問わず、各種ボールねじの修理を行っております。ボールねじは故障した場合、交換に時間がかかりますが、修理することで短時間で復帰可能になります。お気軽にご相談ください。

>>お問い合わせはこちらから

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