技術コラム

2021.10.29

ボールねじの異音とその原因

ボールねじとは

ボールねじとは、回転運動を直線運動に変換する機械要素です。ナットもしくは、ねじ軸をモーター等で回転させることで、回転運動を発生させ、ナット、ねじ軸が動くことで直線運動を得ます。ボールねじは、工作機械などの部品として活用されており、位置決めやワークの運搬などの役割をになっています。

 

ボールねじの構造

ボールねじは、ねじ軸、ナット、ボール、ボール循環部品で構成されています。

ねじ軸が回転運動をすることにより、ナット内部とねじ軸の間に介在するボールが転動することにより、ナットが直線運動をします。

ナットが長距離移動するためには、ボールが無限循環する必要があるので、ボールの循環部品をナットに取り付けることで、ボールが循環し、ナットが長距離直線運動をすることが可能になります。

その循環方式には、様々あり、その循環方式によってボールねじの種類があります。

 

ボールねじの異音とその原因

ボールねじを使用していると、ボールねじから異音が聞こえることがあります。

このボールねじからの異音には、様々な原因が考えられます。

まず、異音の要因はボールねじ自体によるものと、モーターや機械装置を含めた機械系全体に由来するものがあります。

それぞれでどういった要因により異音が発生してしまうのかを以下に挙げます。

 

ボールねじ自体

 摩擦

ボールねじのボール循環の構造が複雑であると、ボール同士のぶつかり音が大きくなります。また、ボールとねじ溝の摩擦による異音も発生します。

 

 ねじ軸の曲がり、ねじ溝の形状精度

ねじ軸のねじ溝の形状精度が低いと、ボールがナットとねじ溝間を滑らかに転動する際の障害となります。そのため、形状精度粗さや仕上げ精度の粗さが原因となり、ボールねじの異音に繋がる可能性があります。

 

 異物混入

切削加工機械などで、キリコが混入してしまうことがあります。そのため、ボールねじ内で異音が発生することが考えられます

 

 ネジ軸とナットの取付誤差

ねじ軸とネットの取り付け誤差によって、ボールねじに異音が発生する場合があります。ボールの転動がスムーズに行われずに、きしむ音が発生しやすくなります。

 

機械系全体

ボールねじと機械装置の取付精度

ボールねじと機械装置の取り付け精度が粗いと、本来ボールねじが受けることのできないモーメント荷重をボールねじにかけてしまう原因となります。それにより、作動不良や異常音の発生につながってしまうことがあります。

 

機械系の共振

機械系で共振が発生することで、ねじ軸にはうねりが発生します。ねじ軸がうねってしまうことにより、ボールねじに異音が発生することが考えられます。

また、機械装置の構成不足も異常音の発生の原因として考えられます。

 

ボールねじのよくある故障

異常音を抑えるために、様々な工夫をすることが可能です。

例えば以下のような事が考えられます。

  • 仕上げ精度を上げる
  • 機械系全体の剛性を高くする
  • 振動対策による共振の防止

 

上で挙げたように、異常音を抑制するための対策は様々あります。

しかし、異常音が発生しているにも関わらず、そのままにしておくと、故障の原因となります。

異常音をそのままにした際のトラブル例を以下に挙げます。

 

切り粉混入による動作不良

切削加工機などに用いられることの多いボールねじですが、刃物移動部に取り付けられたボールねじに切り粉が混入してしまうことがあります。その際に異音が発生しますが、そのまま使用を続けてしまうと、循環部品などの破損に繋がり、動作不良を起こしてしまうことがあります。

 

摩擦による回転不良

ボールとねじ軸の間には、転動を滑らかにするために、給油がなされます。しかし、この給油が適切に行われないと、摩擦による異音の原因となります。そのまま駆動を続けてしまうと、摩擦による回転不良に繋がってしまいます。

 

取付芯ずれによる異常発熱

取り付け精度の粗さは、部品に能力以上の負荷をかけてしまう原因となります。その際に異音が発生しますが、そのまま駆動させ続けてしまうと、負荷に耐え切れず、ベアリングなどの部品が破損してしまったり、最終的には、駆動できない状態にまでなってしまうことがあります。

 

他にも、異音だけではなく様々なよくあるトラブルについてまとめています。

>>よくあるトラブルを見る

 

ボールねじの修理事例

当社では、様々な修理事例がございます。

以下には、異音に関連するボールねじの修理事例を紹介します。

 

再組立て

摺動摩耗によるバックラッシュ解消

  • トラブル:使用による摩耗での予圧抜けの処理
  • 対象機器:切削加工機
  • 対象箇所:刃物移動部

BEFORE

長期使用された切削加工機において、加工対象物の形状によってボールねじの特定ストロークだけが摩耗し、バックラッシュが発生していました。そのため、位置決め精度が落ち、切削精度の低下に繋がっていました。

>>Afterはこちら

 

ボールねじのことならオージックまで!

当社では、ボールねじに関して様々な修理実績がございます。

今回ご紹介した異音に由来するもの以外にも様々なトラブルに関して対応可能となっております。

工作機械に利用されるボールねじの修理、製作に多くの実績がございます。ほかにも、マシニングセンタ、シリンダージャッキなどのボールねじの修理、製作も行っております。

自社製、他社製問わず、ボールねじの修理可能です。お客様の要望に沿って、最適な方法を提案させていただきます。

ボールねじのことでお困りのことがございましたら、お気軽に当社までお問い合わせください。

>>お問い合わせはこちら

 

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