技術コラム

2022.09.22

設計条件に合うボールねじの選定法を紹介

一般的にボールねじにおいては、最も優先する条件を念頭に置き、ねじ軸に加わる荷重と期待寿命からまずナット型式の見当をつけ、それにリード、送り速度、回転数、必要精度、剛性などの諸条件を考慮し最終決定する方式を取ります。

つまり、設計というより、要求する条件を満たすスペックのボールねじを“選定”するという言葉のほうが適切です。

過大な寿命を見込むことは、それだけボールねじが大きくなり、経済的ではありません。与えられた条件を最も経済的に満足させるためには、適切な選定が必要です。

選定に必要な設定条件や検討については、一般的に下記の内容となります。

 1.使用条件の設定

  荷重:ワーク質量だけではなくテーブル質量も対象になります。

  速度:最大値と常用値の確認が必要です。

  精度:「走り平行度」「繰り返し位置決め」「絶対位置決め」などの精度に関する規格値の確認が必要です。

  ストローク:最大・最小の値が必要です。

  期待寿命:高めに設定するとサイズが大きくなりますので、ちょうど良い値を設定してください。

 

 2.諸元の設定

  精度等級:使用条件より要求される位置決め精度に、適した等級です。

  ねじ軸直径:リード精度や軸方向隙間を算出するために必要になります。

  ネジリード:ねじ軸の直径の2倍がネジリードになります。

  ねじ軸取付け方法:取り付け方法で「許容軸方向荷重」「許容回転数」が異なります。

 

 3.安全性の検討

  許容軸方向荷重:ねじ軸の負荷に対する軸方向荷重は、「加速」「定速」「減速」の稼働状態で変化します。

  許容回転数: 鋼球中心径D(mm)と軸回転数N(rpm)の積で決まります。

  寿命:ガイド、ボールねじ、軸受けの3部分の寿命を計算します。

 

 4.要求される機能の検討

  剛性:位置決め精度や制御時の応答性を向上するには剛性を考慮して選定する必要があります。

  駆動トルク:摩擦特性と駆動モータの選定に必要になります。

  熱変位、熱膨張:ボールねじの稼働中100℃を超えるため熱変異、熱膨張を検討してください。

 5.その他の検討

  潤滑:ねじ軸とナットの間をボールが移動するため潤滑の検討は必要不可欠です。

  防塵:クリーンルームなどで防塵油の使用ができない場合などに検討してください。

  偏荷重:荷重が働いてしまうと、ボールやねじ溝に負荷がかかりボールねじの寿命が短くなります。

  ロッキング・逆転防止:ボールねじは重さで落下するので逆転防止ためロッキングを検討してください。

 

まとめ

今回は、ボールねじの選定について簡単にまとめてみました。このような内容でお困りのことなどはありませんでしょうか?

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